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《MUMEI》 逢いたい…赤トンボが庭を舞い,朝夕の風が秋を知らせる頃,私の心は 日々辛くなるのだった。それは夏の終わりの寂しさでも,風の冷たさでもなかった。時折つく溜め息, 悲しい女の性を感じれば感じるほど 自分ではどうする事も出来ない立場にただ一息つくしかないのだ。立場…そう 私も彼も既婚者。そのままメル友で終われば何も問題は無いのに その頃の私は 彼に逢いたくて仕方なかった。主人を嫌いだと言う訳じゃない。離婚したいという訳でもない。なのに 異国の彼に惹かれたのは 外ならない 彼との会話に楽しさがあったからだった。ユーモア溢れ,いつも笑いが絶えない,それでいて紳士で,年下と思えない包容力,知的で賢い。英語の得意な彼は,海外旅行も何度も経験してる。海外旅行をした事がない私に一緒にヨーロッパ旅行したいと言ってくれた。その一言が運命の始まりだったかもしれない。幼い頃 フライトアテンダントになって世界中を飛び周りたい,と言う夢が叶ったような誘いに 胸の高鳴りは消えなかった。やっと見つけた! この人が私の運命の人だ。 それから 次第に主人への愛情が覚めていった。主人との会話に愛情が篭ってないのを 主人も感じはじめた頃,彼が逢いに来ると言ったのだ。私はもう自分の気持ちをごまかすのはやめようと思った。12月の始めに逢う約束をした。しかし…彼は 足の古傷が痛み,手術しなければいけないので 今回は無理だと言ってきた。 その時の私は まるでキツネにでもつままれたように ぼーっとして 何も考えられなかった。子供に対する言葉がこころなしか きつい。焦ったようにイライラし 無性に腹が立った。会えるはずが無いんだ。ネットでの恋愛なんて 実るわけがない。今まで築いてきた自分の中の愛が一気に覚めた気分だった。そしていつの間にか そんな自分を笑っていた。 逢える訳がない…逢える訳がない… 逢える訳がない… ネット恋愛なんてただの仮想恋愛に過ぎない… そう何度も自分にいい聞かせ 気持ちの切り替えをしようと決心した。っと その矢先に 彼から謝罪のメールや電話が何度も来たのだ。逢いたい…… やっぱり…逢いたい… 前へ |次へ |
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