《MUMEI》
募る想い
12月も半ばが過ぎた頃,彼からメールが入ってきた。「退院したよ。もう大丈夫だ。心配かけてごめん。それから 逢いにいけなかった事は本当にすまない……年が明けたら逢いたい…」私にはそれで十分だった。世間知らずだと言われようが,隙が有りすぎると言われようが,今の私には関係のない事だった。端から見れば 滑稽にうつるかもしれない。ただ純粋に…自分の気持ちを受け止めたかっただけなのに。パソコンのメールを何度も開き,彼の写真を何度も眺める。ただそれだけの小さな幸せ。彼も同じ事をしてくれてると信じながら… そんな日々を過ごしていると あっというまに年末が来てしまった。主人は私が夜遅くまでパソコンでメールをしていても 英語の勉強をしてると思ってるようで気にしてない様子だ。少なくともその頃の私にはそう見えていた。というか…もしかしたら そう思いたかったのかもしれない…主人の視線はわずかに背中で感じていたからだ。 『気にしないわ。主人には関係ない。』私の身勝手な言い分だった。 私の中にはもう主人は見えてない。 彼に逢いたい… その想いはもう押さえられなかった。年明けすぐに 「韓国に旅行したい。」と 主人に打ちあけた。主人はかなり驚いてはいたが 「いいよ。」と 許してくれた。すぐに飛行機を予約し 彼に伝えた。仕事だが抜け出して空港まで迎えに行くと約束してくれた。一週間後 初めての海外旅行なのになんの不安もなく当日がきた。その日,空港まで主人に送ってもらった。後ろめたさも何も感じなかった。ただ もうすぐ逢える その喜びだけだった。私は…悪女かも…

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