《MUMEI》
酒井と友達
「レイちゃん、遊ばない?」

「いえ、私、貴方が思っているより忙しいんです。」

友人の私から見て、レイは偉い。慎み深くそれでいて強か者だ。

「あの、ビョーキ持ちのとこ行くのかよ!」

ビョーキ持ちとは小暮君のことだ。

小暮君は暫く学校に来ていなかったと思ったら急に顔を出した。

所謂、身体だけの友人に押しかけられ彼は堂々と

「性病になったからもうヤらない。」

なんて、言った。


それからは賛否両論、暫く学校に来ていたけれど、完璧な容姿を持つ彼の唯一の欠点を他の男性達は放っておくことが出来なかった。

彼の友人達は閉口していたが、小暮君とすれ違う度にガキみたいな冷やかしを飛ばす。
それだけ彼の存在は大きかった。


無視を決め込んでいた彼も、裏で暴行までに発展したので流石に我慢できなくなってしまい、相手に全治二週間、小暮君は謹慎一ヶ月の処分を受けた。

それ以降、彼は学校に来なくなった。




口汚い男から小暮君を庇うのはいつもレイだったし、毎日ノートを彼の分も取っている。

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