《MUMEI》

急変したと聞いた義母は、私が病室に着いた時は、眠っていた。

『とりあえず』落ち着いたらしいが…

「『覚悟』はしておいて下さい」

「『覚悟』…」

私が繰り返すと、担当医は私の目を見つめて続けた。
「ここまで、あなたもゆかりさんも、よく頑張りました。
…でも、おそらく、ゆかりさんは、…もう、目を覚ます事は無いでしょう。

こちらとしても、やれるだけの事はしましたが…

すみません」

頭を下げる担当医は、暗い『青』のまま…

病室を去っていった。

私は、今日は、特別に病室に泊まる事を許された。

…つまり

義母は、いつ『そう』なっても、

亡くなっても

おかしくない

と言う事だ。

このまま、義母が『青』から『白』に変わるまで

私は…

どうしたらいいのか

途方にくれた。

(いや、義母さん)

『白』になることも

最期の色が『青』なことにも

私には



耐えられなかった。

(神様…)

私は祈った。

『白』にしないで

もし、『白』になる運命を変えられないにしても

義母の最期の色が『青』で無いように…

幸せの『橙』までいかなくても、安らぎの『緑』にさせて下さいと…

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