《MUMEI》
灰色の迎え
一週間後。

「こんなもんかな?」

私は、誰もいなくなった施設の掃除を終えた。

義母が亡くなり、すぐに葬儀が行われた。

喪主は私だったが、何もわからず困っていた。

そんな私を助けてくれたのは…

義母が育てた『子供達』だった。

葬儀会場を包む『青』に、私は義母の存在の大きさを改めて感じた。

そして

心配した汐里も来てくれた。

珍しく、汐里も『青』だった。

私を本当に心配してくれているのがよくわかった。

私が応援できなかった事を謝ると、『仕方ないよ』と言ってくれた。

ちなみに、試合は無事に勝利したらしい。

それから、『やっぱり御剣君はすごかった』と言っていた。

私は正直『御剣様』はどうでもよかったが…

あの『女の人』は気になった。

しかし、私が気にしなければいけないのは、これからの生活だった。

これから私は、会社の寮で一人暮らしを始める。

そのために、荷物もまとめた。

「さて、行きますか」

私は、入口の鍵を締めた。
そして、その鍵をこの土地と建物を買収した不動産会社の社長に渡した。

これで、私は『家』を…『家族』を失った。

本当に、一人きりだった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫