《MUMEI》
刃、棘
そんな言葉も打ち合わされる剣戟の音に消えていく。
ギィン!ガリガリガリ・・
打ち合わされる刀と剣。鞘と変異した腕「リディルの左腕」。
打ち合わされるたびに鞘が削られ、抉られていく。
「厄介な腕だな!!」
鞘の状態を確認しながらも互いに一歩も譲らぬ剣戟の打ち合い。
ギィィィ・・
剣での一撃を鞘で受け流したセイが渾身の力で刀を「リディルの左腕」に向けて振り下ろす。
ガギッィィ・・
振るわれた一撃を掴み取る。
「・・伊達に特務隊所属ではないと言った所ですか。」
ギギギギ・・
「指まで自由に動くとは・・思わなかった。けど、斬れないって訳では無いみたいだな。」
押し込むように力を籠めていくセイ。
掴み止めている「リディルの左腕」の掌からじわじわと血が滴り落ちる。
「ち!!」
ギィン!!
振るわれた剣の一撃を鞘で防ぐ。
「甘い!!」
そのまま、左肩を相手に向けて体当たりをするヴィア。
ザジュ・・・
咄嗟に刀を放して、避けようと動くが、深々と胸板を抉られていた。
鮮血を散らしながら後退するセイ。
「・・深遠の局地たる闇よ。契約者の名の下に命ず。」
闇が凝結し、セイの体に纏わりつく。
「ココ、精霊の集い場。闇壁!!」
「まだ、抵抗しますか!!」
ヴィアがセイの刀を投げ捨てると3連撃を放つ。
ガギ・・ガギガン!!
闇が結晶化、剣を防ぐ。
「・・これで!!」
叩きつける様に、「リディルの左腕」を振るう。
その軌道は結晶化した闇を避けるように複雑に軌道を変えながら正確にセイを狙う。
「っと!」
咄嗟に腕を上げ、首や顔を守るセイ。
ブシュ・・
五指が開かれ、ガードに上げた腕を掴む。
ブチブチブチ・・
振り解こうとする腕を「リディルの左腕」が容赦なく削り取っていく。
「今、降伏されれば・・腕を失わずに済みます。」
「リディルの左腕」に掴まれたセイの腕を見据えながらヴィアが言葉にする。
鞘で牽制するも、全て剣で防がれている。

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