《MUMEI》

私が清水さんにお礼を言って、
清水さんと椎名ママは少し言葉を交わして、


それから清水さんは、お大事に、と言うと帰ってしまった。



「…さて、あたしは帳簿つけるから、
さっさと配達行ってきて!」



椎名ママはそう言うと、
私(椎名くん)の荷物を持って
さっさと店の中へ入っていってしまった。



「…え…」



一人取り残された私は、なす術なく立ちすくんでいた。


酒瓶がいっぱい入ったケースを見つめる。



……一体これをどーしろと……



泣きそうになっていると、



〜♪♪♪♪〜



無機質な電子音が鳴り響いた。



急いでポケットから(椎名君の)携帯を取り出す。



ディスプレイには



『蓬田』



の文字。



…私から電話きた…

―…変なの…


そんな感想が少し頭をかすめたけど、



これは、椎名くんからの救いの電話!!!



私は急いで通話ボタンを押した。

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