《MUMEI》 それなのに。 「内定取り消しってどういう事ですか?!」 私は挨拶に行った会社で社長に訴えた。 「そんな事言われてもね〜。こっちも突然言われて困ってるんだ」 (嘘だ) 社長はすごくいいことがあったらしく、『黄』だった。 私が社長を睨んでいると… 「君の『親戚』から言われたんだよ」 と、社長は説明した。 『親戚』? 「そんなのいません」 私は、捨て子で、育ててくれた義母も、もういない。 「あれ?おかしいな。 ちゃんと金も…」 そこまで言うと、社長は慌てて口を押さえた。 「お金?」 「あ〜、いや」 社長は、わざとらしく咳払いをした。 そして、『とにかくそういうわけだから』と、私を会社から追い出した。 「何なのよ、一体」 私は、荷物を抱えて呟いた。 理由はよくわからないが、私の内定取り消しは決定らしかった。 会社内定取り消しということは 当然、寮にも入れない。 …今更、住んでいた施設にも戻れない。 (どうしよう) 仕事と住むところが、同時に無くなってしまった。 両方とも、いますぐに、見つかるわけもなく… 私は途方にくれた。 前へ |次へ |
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