《MUMEI》

―ハンバーガーショップ

『うめえ。』


大島のリクエストで地元チェーンのバーガー屋に来た。

久しぶりに美味い。


「あのね、稲田。サユに真治くん紹介したの、あたし…なんです。」


マジかよ。


『…随分キツイ事をあっさりと。それって、俺に邪魔すんなって事?(笑)』

「ちっがうの!いくらサユでもあんなにすぐに…」


事の経緯を説明してくれた。

でもまあ、大島にとっちゃ災難だろ。

真治くんとやらは女にだらしなさそうだし。


「…だから、ごめん!!」

『いや、謝んな(笑)こっちこそ卑屈になってごめんな。』

「んーん。…稲田はどうしたいの?」

『それ、どうしようかと思って。好きな奴居るなら告られても迷惑だろ。』

「…今までもそうやって逃げて来たんだ?」


…痛いとこ突くな。


『まあね、振られても怖いし?』

「あ〜、なるほど。あたしも…」

『ん?』


あ、こいつ好きな奴いるんだな。


「なんでもないっ。…たぶんサユ、そういうの嫌いだと思う。」

『どういうの?』

「…女々しいの。」





―カラオケ店

『うめえ(笑)』

サ「…あなたの体に〜♪溶けてひ〜…♪」

小「声たかっ!」

サ「あ゛ー、そろそろ喉痛い。」

小「ちょっとトイレ♪」


二人かよ…最近のサユなんなの?

つーか一葉も…まあ稲田なら本気でも良いかもな。


『それ新しいアルバムのだろ?…姉貴のせいでコンプリートしてる。』

「…じゃあこれ歌ってよ。ちゃんと"ありがとう"ってやってね♪」

『気持ち悪いだろ(笑)』

「…篠崎って好きな人いるの?」

『いきなり何?あ、俺に惚れてんだ♪』

「うっざ。…いるかいないかだけ!」


…良い答えが見つからないよ、俺自身。


『…さあ?♪…つーか他に聞きたい事あんじゃねーの?』

「え…。」


…あるんだろ。

別に隠すつもりも隠し通せるとも思ってない。

その時だと思ったら言うまで。


『あいつは…さつきは気付いてる。でも俺が本当の…』

小「ただいま〜♪」


…。


サ「…お帰り!…篠崎がユキちゃん歌うって♪」

『はあ?!』

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