《MUMEI》 電話 〈おれ〉ちょうど5回目の呼び出し音で、 蓬田は電話に出た。 『…しいなくん…??』 今にも泣き出しそうな… 『おれ』の声。 「おう。…えっと、どうした??」 こっちから電話掛けといてなんだけど、 受話器越しの声があまりにも切羽詰ってて、 そう訊かずにはいられなかった。 『…これ、どうすればいいの〜…???』 すでに、蓬田は半泣き状態で。 「は?何が!? …落ち着いてちゃんと説明しろ!!な!」 おれは、必死に蓬田をなだめた。 『…配達、しろって…』 少し落ち着いたのか、蓬田が口を開く。 「…おれんち酒屋って言ってなかったっけ??」 『……聞いてない』 …言ったつもりだった… それじゃ、いきなり過ぎてついてけないよな… 「…悪かった、でもおふくろに逆らうと―…」 『配達頑張る!!』 ―…即答。 おれは、配達の手順を説明し始めた。 前へ |次へ |
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