《MUMEI》
電話 〈おれ〉
ちょうど5回目の呼び出し音で、
蓬田は電話に出た。



『…しいなくん…??』



今にも泣き出しそうな…


『おれ』の声。



「おう。…えっと、どうした??」



こっちから電話掛けといてなんだけど、
受話器越しの声があまりにも切羽詰ってて、
そう訊かずにはいられなかった。



『…これ、どうすればいいの〜…???』



すでに、蓬田は半泣き状態で。



「は?何が!?
…落ち着いてちゃんと説明しろ!!な!」



おれは、必死に蓬田をなだめた。



『…配達、しろって…』



少し落ち着いたのか、蓬田が口を開く。



「…おれんち酒屋って言ってなかったっけ??」


『……聞いてない』



…言ったつもりだった…


それじゃ、いきなり過ぎてついてけないよな…



「…悪かった、でもおふくろに逆らうと―…」


『配達頑張る!!』



―…即答。



おれは、配達の手順を説明し始めた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫