《MUMEI》
side*弘毅
俺なりには片付いた、俺の部屋。



俯く優流。



「なんで止めた。」





棒読みの優流の言葉。
突き刺さるようだった。



でも返す言葉なら充分にある。

「…放っとけるわけねーだろ」



「……お前に、怪我なんてさせたくなかった。」

「…ケガ?」
(ケガしてんのか、俺が?)



俺がきょとんとしているのを察したのだろうか。
優流は俺の手をとった。

俯き加減で、前髪のせいで表情は分からなかったけど。

なんだか、声が震えてた気がした。

「ここに、痣できてる…」

「あ、本当だ。」

優流がとった俺の右手首の外側が青く変色して、更にちょっとだけ腫れて熱を持っていた。

「こんなのは全然。」

"怪我の内に入らない"って、言おうとしたのに。



「…っご、めん……」



優流は俺の手を自分の額に当てて泣き出した。



***

うーん。
こうなったイキサツってやつを説明しないとね。

じゃあ、優流が泣き止むまでの間、俺の回想をどうぞ。

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