《MUMEI》

(殺される)

私は、そう思った。

しかし

「…可愛いわね」

女の人は、そう言って、私に微笑むと、台座に戻った。

「ゆき。私はね、あなたのお父様の妹にあたるのよ。
そこにいる神とあなたは、いとこ同士なの」

『お父様の妹』

『いとこ』

突然の事に、私は、実感がわかなかった。

捨て子で施設育ちの私に

こんな大豪邸に住む『身内』がいるなんて

信じられなかった。

「あの…私の父は…」

「残念だけど、ずっと昔に…丁度、あなたが生まれた頃に、亡くなっているの」
『紅』が一瞬『青』になる。

「あの…母は」

「一緒に、亡くなっているわ」

…また、『紅』に戻った。
「その時、あなたは一緒にいたはずなの」

「え?」

その時。

『両親が亡くなった時』だ。

(でも、私は…)

義母の施設の前に捨てられていた、はずだ。

「何故かはわからないけれど、現場からあなたの姿だけが…

消えていたの。

それから、いくら探しても見つからなかったのに…

まさか、こんな形で見つかるなんて…

きっと、あなたのお父様が、神とあなたを巡り会わせてくださったのね」

「そうですね」

御剣君が、頷いた。

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