《MUMEI》 「知るか。…お前が教えて守ってやれば?」 「嫌よ」 翔子がきっぱり言い切った。 神楽も翔子も、自力で切り抜けてきた。 だから… 「「とにかく、頑張りなさい」」 そう言って、私の肩を、神楽様と翔子さんが叩いた。 (そうだ) 私は、御剣君に、『姫』を叩いてしまった事を改めて謝った。 御剣君は、『姫』の主なんだから。 彼は… 「別に、あのくらい、問題無い。それより、『御剣君』だと紛らわしいから、『神』でいい」 と言ってくれた。 そうして、私達は、神楽様の部屋を後にした。 その時、神楽は… 「本当に、お兄様と、『あの女』の子供なのね。 あの顔…『あの女』にそっくり」 と呟いた。 神楽は、わざと教えなかった。 女の『守護神』が、『何』に気をつけなければならないか… そして、神を好きな翔子もまた、それを教えなかった。 『それ』は、最強の神には必要無いが、他の三人の『守護神』達には、必要なものだった。 翔子は決して『それ』を三人には与えてくれない。 翔子は風の『守護神』で三人より素早く、力ずくで『それ』を手に入れる事もできなかった。 前へ |次へ |
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