《MUMEI》

司の言葉に、他の三人は何か言いたげな顔をしていたが、しかしここでいつまでもじっとしていられる訳にもいかず、仕方なく司の後を追った。






行き着いた場所は…


そう、原田美和子が殺害された現場である例のアパート。

「気味、悪いね…」

優香がボソッと呟く。


夜見た時もそうだが、こんな明るい時間帯でも負のオーラを纏ているとでも言おうか、そんな妙な空気を漂わせている。



「一人は危険だから、二人一組になって探すぞ。洋平は美樹と、んで、俺は優香と。二手に別れて探そう。」

「何処から始めりゃいいんだよ?」


ここ一番な時、洋平はいつも他人任せだ。
だからこんな生死を賭けた瞬間でさえ、司に頼る。


司はうんざりしながら時計を見た。


午後3時。

夏だから、日が落ちるは遅いのだが、ここに長居はあまりしたくない。


「…庭。洋平達は右、俺らは左だ。」


アパートと門の間には小さいながら庭がある。


本当は建物の中と外とで二手に分かれたかったが、時間的に考えて、それは無理だと司は判断した。

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