《MUMEI》

シトラの壁からバイクを降りて、押していく。

『ねぇどこに向かっているんだ??』

「いいから。ついて来い!」

しばらく歩くと、野原のように綺麗なところに出た。

『綺麗だな。こんなところあるんだな。こんな国でも。』

「あぁ。腐っているこの国でもな。妹が好きだった場所だよ!」

見渡せば、海が青々としてとても綺麗だ。

そこの一角に墓があった。

『これは??』

「妹の墓。」

墓の前に座り、手をあわせ願う。

トモもまねをする。

『妹さんはどうして??』

「病気だよ。これもすべてあんたの親父のせいだよ!!」

『うん。』

「私は、あんたの親を、親父を殺すつもりだ!あんたはどうする??」

『俺は・・・・。』

「やっぱり覚悟なんてできるはずないんだよ。見栄を張ってるだけなんだよ!!」

『それは、違う。俺は、覚悟を決めたんだ!この国が間違っているなら親父を殺す!』

「お前昨日見ただろ?しなびた果物を。街に行ってみろ!しなびた果物ややせ細った人たち。すべてこの国の王であるお前の親父が上で悠々自適に暮らしているからだろ?違うか?」

『・・・確かに。ミオの言うとおりだよ。』声に力のない返事をするトモだった。

「あんたは、昨日からこの国が間違っているならと言っている。目で確かめただろ?この国は、間違っている。ほかの国の人が来たら思うだろう。感じるだろう。この国は間違っている。おかしいと。」

『・・・。』

「お前は、認めたくないだけだ!間違っていることを信じたくないだけ。覚悟なんてこれぽっちもないんだよ!!」

『違う!』

「違わないんだよ!国民の中では、盗んでまでも食べ物を食べたい人もいるんだよ!女の体を撮って雑誌にして金を稼ぐ奴もいる。」

『ミオの妹の病気って??』

「私の妹の名前はサオ。サオは病気を患っていた。それでも食事は満足できるほどのものではなかった。病気は、悪くなる一方だった。私は、サオの分まで働いた。二人分の食費を稼ぐだけでいっぱいだった。」

『そうか。』トモは、自分たちが豪華な食事はしていることを思い出していた。

「ある夜、サオは言ってきた。『お姉ちゃん。いつもありがとう。私の分まで稼いで養ってくれていつも感謝してる。これからは、自分の分だけでいいよ!』って私は、「何言ってんだよ!二人しかいない家族なんだぞ!!」って答えた。そのときは、おかしいやつとだけ思ったんだ。でも、次の日仕事から帰ると、妹はいなかった。そして、ここの木で首を吊っていた。」

『・・・。』そんな経験すらなく不自由なく生きてきた自分の呪った。

「分かるか?サオは私に迷惑をかけたくなくて逝ったんだよ!?病気だって薬を買えば治ったかもしれない。でも、病院に行っても診察代は高い。そのうえ、薬がほしいとなるともっと高い。とても給料だけで買えるとは、思えない。サオは、悩んだだろう私がいなければと。結果サオは自殺したよ。」

『ごめん。ごめん。ごめん。・・・』何回も泣きながら謝るトモ。下を向きながら謝る。

「私は、あんたの親父を殺し、平和な国を取り戻す!!」

『あぁ。俺も手伝う!いや、俺に殺させて。』

「ふぅ〜ん。やる気が出たの??」

『確かに。最初は、殺そうと本気で思ったわけじゃない。でも、今は違う。』そういうトモは、少し凛々しかった。

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