《MUMEI》
異空間
私は持ってきた荷物をスーツ姿の『灰色』の人に渡され、敷地内の『守護神』専用の屋敷を教えられた。

何故か、『一人で』行くように言われた。

ただし、神はいないらしい。

当主である神は、神楽や他の御剣の直系の人々と共に、本宅で生活しているという。

ちなみに、先程の離れは、『守護神』と『普通の人間』が唯一会える共通の空間らしかった。

『守護神』はそれほど特別なんだと、『灰色』の人が言っていたが…

(何だか…)

『特別扱い』というより、『隔離』みたいだと私は思った。

食事は、離れで出されるらしい。

掃除は…何故か、『必要無い』と、『灰色』の人が言っていた。

その言葉の意味は、私にはわからなかったが

問題は、洗濯物だった。

「離れに持ってきて下さい。こちらでやります」

「じ、自分でやります!」
当たり前のように、『灰色』の人が言うから、私は慌てて訴えた。

『しかし…』とその人は言ったが、私は何とか説得して、離れの洗濯機を使わせてもらえる事になった。

…それは、女としては、抵抗があったから。

翔子さんはどうしているか気になったが、彼女は『お嬢様』だから、自分で洗濯なんてしないだろうと思った。

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