《MUMEI》 洋平と美樹「探すっつってもなぁ…」 10年間手付かずだった庭は、雑草が伸び放題になっており、捜索は困難極まりない状態だ。 洋平は途方に暮れた様にため息をついた。 チラリと司達の方を見れば、二人は草抜きをしていた。 「私達もやろっか。」 「…だな。」 まずは邪魔な雑草から処分していくしかなさそうだ。 真夏の午後はとても暑く、汗が滝のように流れだす。 二人は暫く無言のまま、黙々と雑草抜きをしていたが、ふと美樹が話し掛けてきた。 「どうしてあの時、洋平君にだけ見えたのかな?その…原田美和子さん。」 「さぁな…。」 暑さで苛立っていた洋平は、素っ気なく答える。 しかし、美樹は構わずに一人で話を進めていく。 「洋平君だけじゃない。真弓も、井上君も…。 共通する事と言ったら、あの時点で写真に予告されていた事。 でも、洋平くんは違う…」 美樹は作業を続けながらも、「う〜ん」と首を傾げて考えを廻らせていた。 洋平もまた、素っ気ない態度はとったものの、正直その事は気になっていた為、作業もそこそこに、じっと美樹の独り言を聞いていた。 前へ |次へ |
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