《MUMEI》
懇親会
入学してから早一週間。
今日は夕方から親睦会という名のクラスの飲み会が行われる。


実は、私はこの日をかなり楽しみにしていた。


というのも、この機会に鈴木くんとお近づきになって仲良くなりたいな、なんて目論んでいるから!


何気に近い席に座ってみたりする。


よく考えると、私はまだ18で未成年なんだけれど…。
浪人組もいるので、みんなお構い無しにビールやらチューハイを飲んでいる。


これが親睦会かぁー
私、お遊戯会みたいなの想像してた…


みんな普通にお酒飲んでるし…
私も飲まねばっ!


ゴクゴクゴクゴク


ビール、まずっ!!
おえぇぇぇっ。




「お酒、飲めないの?」


ギャー、すすす鈴木くん!


まさか話しかけられるなんて思ってもみなかった・・・


しかも、このタイミングで・・・
すっごい不細工だったはず。


そんな焦った気持を隠し、冷静を装って答える。


「え?うーん。あんましビール飲んだことないし」


ていうかお酒全般を全く飲んだことないし…


とは、変なプライドが邪魔して言えず、


「いつもサワーとかカクテルとか飲むから」


なんて嘘を、カッコつけて言ってみた。


「そっち派かぁー」


鈴木くんが相づちし会話が止まる。


会話が止まった…


「そ、そういえば出身、同じ山口だったよね?」


一気に親しくなるには、地元の話が一番!


「私はM高だったんだ。鈴木くんは?」


「S高」


出たぁーーー
S高ぉーーっ!!

S高と言えばメチャクチャ進学校じゃん。
しかもボンボンでイケメン揃いな男子校。

なるほどS高なら鈴木くんみたいな人いそうだわ。


「S高なんだぁー、すごいねぇー。S高っていいよねぇ」


「そう?俺は落ちこぼれだから二流の私大だよ」


そ、そうだね…
私はその二流の私大に必死で勉強して入ったんだけどね…
鈴木くん、空気読めないのかなぁ〜


しかも突然!!


「お前、ミーハー?」


みーはー!?って何?
なんで?


意味よく分からないけど、けなされたことは十分伝わってきた。


初っぱなからバカにされるなんて…もう「くん」とか付けるのやめた!!


「鈴木、失礼すぎぃー!!!」


慣れないお酒の勢いも借りて鈴木に絡んだ!


鈴木はお腹抱えてケラケラ笑ってる。


まだ訳のわからないことを言って、ゴチャゴチャと私をからかってるみたいだけど。


もうよく分からないよ。


あぁ、なんだか飲みすぎたかも。
眠くなっちゃった。


少し横になろ・・・。


鈴木君との色恋沙汰はないな、こりゃ・・・トホホ。

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