《MUMEI》 「あれ、あの人って小暮君の友達?」 レイが男と二人きりで話すことは珍しい。 「そう、笹川先生の弟さん」 「ふーん」 目鼻立ちは同じなのに全然雰囲気が似てない。やんわり笑う人だな。 弟さんのが弱そう。 「……彼と付き合っているの。」 「へ?」 聞き直してしまった。 小暮君ばっかりで男の影は微塵も感じられなかったから。 「彼、いい人よ。」 穏やかなる微笑みだ。 私はと言えば動揺が隠しきれない。 まさか、レイが小暮君以外の人と付き合うだなんて考えもしなかった。 前へ |次へ |
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