《MUMEI》
男の手料理
小川くんのマンションは本当に近所でビックリした。

「もしかして毎朝私のマンションの前を通ってる?」

「バスで行くときは通ってるかも」


小川君は苦笑いしながら…

「でも寝坊して遅刻したときはタクシーで行くから…ハハハハハ」


た、タクシー!!


「リッチだね〜」


普通にビックリした。


「親父が真面目に授業出ろってうるさいんだ。」


親父かぁ…ファザコン?


「お父さん何してるの?」


「金沢で自営業だよ」


あぁ〜なるほど。
小金持ちかぁ。


「またそういう時あれば大谷さんを途中で拾っていってあげるよ」


まじっすか!!!
タクシー通学!!!


「それより、そぼろ丼食べてや!」


小川君お手製のそぼろ丼。
黄色と緑と茶色がキレイに並んでいる。


「すごーい、こんなの作れるのぉーっ」


「全然すごかないよ。すっげー簡単。こんなので喜んでくれるなら、いつでもご馳走します」




こう言っちゃなんだけど、小川くん…かなり使える…
料理が出来るのはポイント高し!!
しかもタクシー通学。



はにかんだ笑顔が、少し気になるけど・・・
まぁ見た目も服装も悪くはないし・・・。

それに…私に好意を持ってそうだし、私の初めての相手は小川くん…


キャー、ワァー!?私ったら先走りすぎ。
一回ご飯を作ってもらったくらいで!?


がっついてるって思われないようにしないと。



「ごちそうさま。とっても美味しかった。またぜひともご招待してください!」

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