《MUMEI》

「ここ、私が一人で使うんですか? 『女の子部屋』じゃなくて?」

「『女の子部屋』?」

首を傾げる三人に、私は、施設にいた頃は、数人の女の子達と共同で部屋を使っていた事を説明した。

ここは、その『女の子部屋』より広かった。

「そっか、じゃあ、一人は寂しいね」

『一人』

明良さんの言葉に、私はうつむいた。

(そうか…)

私は、本当に一人なんだと実感した。

「大丈夫だよ」
「俺達、仲間だからね」

明良さんと右近さんが私を慰めた。

左近さんは、無言で私の頭を撫でた。

(何故だろう?)

すごく、親切にされているのに…

その言葉や行動は嘘ではないとわかるのに

何故か、私は喜べなかった。

それでも

「ありがとうございます」
私は、笑顔で三人にお礼を言った。

笑顔の三人は、相変わらず暗い『黄』だった。

(それよりも…)

「あの、私。本当に『守護神』なんでしょうか?」

私は、その方が気がかりだった。

「そうだよ。その証拠に、君はこの屋敷に入れて、部屋が『できた』」

「え?」

明良さんの言葉に、私が首を傾げると

「あのね、この屋敷は異空間でね。『守護神』以外は入れないんだよ」

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