《MUMEI》

右近さんが付け足した。

「部屋は、『守護神』の数だけ『できる』」

左近さんが、ポツリと言った。

「だからね、君が『守護神』なのは、間違いないんだよ」

明良さんはそう言って、笑った。

他の二人も笑っていた。

「はぁ…
あの、そういえば、神…君の部屋も、ここにあるんですか?」

「あるよ。あいつは、一度もここへは来ないけどね」
「だから、ここにいるのは俺達と、翔子と、君だけだよ。
それとね、俺達二人は別々に部屋があるけど、左近は俺の部屋にいる時が多いから、良かったら、遊びにおいで」

右近さんがそう言うと、左近さんも頷いた。

「俺の部屋でもいいよ。
一人部屋で、何も無くて暇だから」

「…お気持ちだけ、いただきます」

明良さんが至近距離で話しかけてきたので、私は少し赤くなりながら、答えた。
「そう?」

「はい。あの…そろそろ、休みたいので…」

「そうだね。ごめんね。ほら、明良さん、行くよ」

右近さんと左近さんは、明良さんを引きずりながら、私の部屋を出ていった。

私は、三人の姿が見えなくなったのを確認して、障子を閉めた。

(そういえば…)

部屋のどこにも、鍵はついていなかった。

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