《MUMEI》
Monday〜君と初めて会った時〜
上城美麻(かみじょうみあ、な。)の始めてあった時の印象は付き合いにくそうな奴だった。
腰より上のストレートを紺いろのリボンでくくりまとめた髪。藍色の目。美人、というよりかは可愛いいタイプ。身長が小さい事が更に可愛さを引き立たせる。
では何故付き合いにくそうと感じるかと言うと、なにせ1年入学式後のホームルームでの自己紹介が。
「上城美麻。」
だけで座ったからな。趣味など喋ること一切無し。挨拶すら無い。これには先生も驚いてた。たまたま席が前後になった、というか俺が上条直樹(かみじょうなおき、つまり読みなら美麻と苗字一緒)だからクラスさえ合えば前後になるのは当たり前。とにかく話かけてみたんだが
「上城さん。これからよろしく。俺は上条直樹。」
「上城美麻。よろしく。」
「上城さんは趣味とか無いの?」
「あなたもかみじょう。美麻でいい。」
「それじゃ、美麻さん。趣味とか無いの?」
「無い。」
「好きな食べ物は?」
「アスパラ」
「アスパラかぁ、俺あんまし好きじゃないんだよなぁ。」
「そう。」
「俺の好きな物は肉かな。」
「そう。」
こんな感じ。質問すれば一問一答。俺の話は全て『そう』で返される。用事があるときは喋ってくれるけど、それも簡潔に短くまとめられてる。しかも視線は常に窓の外をぼーっと見ていた。無口選手権があったら優勝出来るね。
この後も、好きなスポーツ、好きなアーティスト、ETC、ETC。とにかく色んな質問をした。でも返事は全て無い。ある程度は頑張ったんだけど、この居ても居なくても変わりませんよ的な空気に敗北。せめて、うざがるでもよかったからなんか反応してほしい。無視される辛さの断片を味わってる気分だ。
この日は触らぬ神に祟り無し。おっと、触る美麻に反応無しだったか。他の幾人かも話かけたが同じ様に敗北。その日は話かけなかった。

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