《MUMEI》
慣れない手つきで狭いベランダにシーツを二枚も干す裕斗。
俺はその脇で煙草を吹かしながら完璧に青い青空を眺めていた。
「なー!やっぱエッチなご奉仕して欲しいんだけど」
「だからそれは中止だって言ってんじゃん!
出かけないんだから無し!」
「はい〜、はあ…」
あれって人生一回でいーからしてみたかったんだよ!
まー またチャンスはあるか。
「ねー!邪魔だからベランダから出てよ」
ハンガー片手に俺の背中を押してくる。
「何だよ!俺が組み立ててやってる時は平気で甘えて邪魔してたくせによ〜、自分の時はそうくるか!」
「だ〜か〜ら〜!ベランダ狭いんだから仕方ねーじゃん、いーから出て!」
俺はブツブツ文句を言いながら部屋に入った。
裕斗は俺が着ていたTシャツを干しだしている。
「なんなんだよ〜、甘えたいときだけ甘えるなんてそういう奴はデレツンって言うんだよ!あーもう腹減った!」
もーすっかり昼だし!
「ハハッ、つか秀幸はデレデレだよねー!昼ご飯どうしようか〜?」
「勿論外食だ!カロリー取るぞ!出した分補給しなくちゃな!」
「良かったよ、すっかり体調戻って、近所に美味しいらしいラーメン屋あるから行こう」
裕斗は洗濯籠を持ち部屋に入ってきた。
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