《MUMEI》
「ご苦労様!」
「は〜、俺も一服する〜」
裕斗はすっかり慣れた手つきで火をつけ煙草を吹かしだす。
壁に寄りかかりながら煙を吐く様はそのままそっくりグラビアにしたい位格好良い。
「はー。俺が女だったら一発で惚れるな」
「何言ってんだよ、男だって惚れたくせに…」
「ハハッ、そうだっけな…」
俺は裕斗の顔の両脇に手を付き、
「もう迷うな、俺だけ見てろ…」
「じゃー迷わない様に確り捕まえてて」
お互いに少しだけ笑った後、自然に眼を閉じ唇を重ねた。
太陽の光に反射して壁に揺れて映るクレオクロス。
まだはめてる感覚に慣れない、
俺の薬指のリング。
少しづつお互いの身の回りと心が混ざりあって、ずっと一緒にいれたらなと…
柔らかな暖かい日差しを背中に感じながら
クリスチャンでもなんでもねーのにクロスに…
そっと願いを込めた。
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