《MUMEI》

「内館先輩来てなかった?」

藤田が俺が寂しくなる直前のタイミングを計ったかのように来た。

「連行された。」

「ぷ 二人らしい」

藤田は笑いを漏らす。


「あの人達ならずっとあんな感じでやっていそう。」

「……うんうん」

藤田が俺の机の上に自然と座る。

「……近い。」

俺を見下ろす。

「気のせいだ」

そんな訳あるか。

「お前が近いと舟に乗ってるみたいだ。」

音をたてて揺れ動く。
水面みたいに安定しない。


「俺もだよ」

「わざとらしい嘘だな」

笑う余裕まで見せて。

「好きだよ」

「わざとらしい嘘だ」

そうやって惑わして楽しんでいる節がある。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫