《MUMEI》
追いつきし翼
「「風姫」をココに残します。ヴィアと合流後、本国へ向かってください。」
「風姫」をヴィアの指揮下に置くと命令し、一般兵6千を率い、アルトレアは本国へ向かう。
「は、了解しました。ヴィア様と合流後、本国へ向かいます。」
「皇国の軍やリーベルの者達が来ると思いますが・・可能なら戦闘は避けないさい。」
「了解しました。ヴィア様にもそのように。」
「頼みます。」
ロゼ達を連れてアルトレア率いる本隊は動く。

「あ〜・・ロゼはあっちか。」
アルトレアの部隊を追跡するセイ。
ヴィアとの戦闘でダメージを受けているが、追跡程度なら問題は無いと判断して動いている。

「軍を二つに分けているようだな。」
上空を飛ぶ彩詩達がコーリア軍に追いつく。
「手順は解ってるよね。行こうか、ロア。」
「まったく。病み上がりの人間に無茶させるよね〜」
そう言いながらも彩詩とロアは詠唱を始める。
「「・・清浄なる真意の光、深緑の風よ。集い、その光を纏いココに顕現せよ。束ねよ、束ねよ、幾重にも・・億千万の翼となりて我に力を。」」
半透明の碧色だった翼が純白の翼へと変わる。
彩詩が構えるのは「緋ノ櫻」
「ロア、パス。」 「あいよ。」
ロアが彩詩に「クロノ・レベリオン」を渡す。
受け取った彩詩はそれを矢の代わりに弓へ。
「誘導よろしく、それじゃ・・・」
バチバチバチ・・
炎が爆ぜるような音を立てながら「緋ノ櫻」を引き絞られていく。
周囲に展開していたハンディングの結界が解除されていく。
「・・・魔力収束完了。」
ロアの声に応じるように、「クロノ・レベリオン」が蒼い燐光を纏う。
「・・天、放つところに我は在り。門、開く処に汝在り。導くは闇。示すは力。マナ集い・・導き手の闇はただ、絶対の一筋、リュンケウスの葉脈。」
闇色のレールが一筋、確実にある人物の額を目指す。

「何だ・・この魔力は・・」
突如上空に現れた超高魔力に思わず空を仰ぐ。
「・・・天使?」
「天使だ!!」 「何だ、あれは・」 「敵・・なのか?」
周囲の兵達も気が付き始め、騒ぎ始める。
視線の先、月光を背に受け、純白の翼を背にした二つの人影と夜の闇に在ってなお昏い人影が一つ。
「・・・・全員下がりなさい!!」
アルトレアは即座に己の剣を抜き放ち、確かな予感を持って魔力を己の剣へ収束させていく。
ヒュン・・
剣を構えるアルトレアの額に黒いレールが狙いをつける。
「・・・来い!!」
その声は誰に向けたものか、それは当人達にしか解らぬものだろう。
周囲では大急ぎで防御結界が多重に展開されていく・・

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