《MUMEI》 (何か…おかしい…) 走り始めてすぐに、私は自分の体の『異変』に戸惑った。 私は、持久力は、人よりある方だと自負していた。 それなのに、少し走っただけなのに、すぐに息が上がってきた。 こんな事は初めてだった。 私は走れなくなり ゆっくり歩き出したが やがて、それすらできなくなってその場にうずくまった。 寒いような、熱いような、変な感じ。 視界も、ボヤけてきた。 (どうしちゃったの? 私) 思い当たるのは、あの『コップの水』 でも 確かに、右近さんは、私の目の前で、同じ水を飲んだ。 「思ったより、頑張ったね」 動けなくなった私の背後で、右近さんの声がした。 私は恐ろしくなった。 左近さんが私の正面に回りこんで、目の前に、しゃがむ。 「嫌っ…」 私と同じ目線になった左近さんは、ゆっくりと、私の頬に触れてきた。 それだけで、私の体が震えた。 「あっ…」 恐怖とは別の、熱いようなおかしな感じに、私の口から、信じられないような甘い声が出た。 (何、今の?) 明良さんに襲われた時は、抵抗できたはずなのに 力がまったく出ない。 何だか、熱くて…頭もボンヤリしてきた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |