《MUMEI》

「…いい感じ」

「…っ…あっ……は」

左近さんは、確認するように、私の体に触れていった。

うずくまっていた私は、前に…

左近さんによりかかるような姿勢になった。

「うんうん。いい感じに薬が効いてるね」

右近さんが私の後ろから囁いた。

それだけで、私の体がビクビクと反応した。

(く…すり?)

吐息や甘い声しか出せなくなってきた私は、ぼんやりと、その言葉を聞いていた。

薄れゆく意識の中で、右近さんの説明が聞こえた…気がした。

「左近の水はただの水だよ。

君が飲んだのも、俺が飲んだのも、ただの、同じ水。
ただ…君の『コップ』にちょっと、『気持ち良くなる』薬を塗っておいただけ」
―と。

それから後は…

何も、覚えていない。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫