《MUMEI》
ガキくさい
肩をつかんだのは鈴木だった。


ゲッ


「ちょっ、いきなり…」


「昨日どうしたんだよ!
あれから小川とはちゃんと話したのか?」


鈴木は怒っている訳ではないらしい。


「気分が悪くなったから帰って寝た」


というのは嘘で実は寝不足


「小川があれから何度も電話しただろ」


「電話に出れないくらい気分が悪かったの」


小川くんが嫌で気分が悪かったのは事実だ。


「心配してたぞ…」


昨日は電話とメールの嵐だったしね…


「付き合ってるんじゃないの?小川と…」


はぁぁぁぁぁ!?


やっぱり…そういうことになってるし…
勝手に彼女にするなんて最低!


小川くんが勘違いしていたことが一気に腹がたち、怒りが再燃し鈴木にぶちまけた。


「誰が言ったの?付き合ってなんかないよ!大体、私は小川くんのこと、なんとも思ってないし、どっちかって言うとキモイって思ってるくらいなんだから!」


鈴木もどう対処していいのか困っているようで…


「ちょっと落ち着けよ。よく分かんないけど、なんだか面倒くせ〜」


鈴木は、これ以上関わりたくなさそうな顔をしている。


「面倒くさいって失礼な!案外、薄情だね…少しは相談に乗ってよ」


「相談?何を?お前、小川のこと嫌なんだろ?一体、何を相談するんだよ」


た、たしかに…でも!


「同じクラスだから、顔を合わせるとき、どうしたらいいとか!?」


ブッ!?


鈴木は吹き出して、


「ガキくさぁー」


とだけ言って、教室に入ってしまった。



ガキくさぁー…かぁ。


そんなの言われなくたって分かってるよーだ!

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