《MUMEI》
目覚め
「ちょっと効きすぎたかな?」

右近が軽くゆきの背中を指で押した。

『気持ち良くなる薬』

いわゆる『媚薬』で敏感になっているゆきの体が、ビクッと震えた。

「まぁ、いいか。
じゃ、後は、楽しみなね、左近」

左近は右近の言葉に頷いて、ぐったりとしているゆきの体を軽々と抱き上げると、自分の部屋に戻っていった。

(さて…)

右近はそれを確認し、自分の部屋に戻った。

普段は一緒にいる二人だが、さすがに今夜は別々に過ごす。

明良が欲したのはゆきの、『女の守護神』の精気だが、右近と左近はそれには興味は無かった。

そんな事をしても、到底神を超える力が手に入るとは、とても二人には思えなかった。

おそらく、明良もどこかでわかっているだろうが、彼は過去の栄光が忘れられなかった。

そもそも、神とゆき以外の『守護神』は御剣家の一族の中では、直系ではなく、どちらかと言えば、遠い分家にあたる。

その為、生活も、一般人とさほど変わらなかった。

それが、ある日『剣』を生み出す事で、突然本家に呼び出され、『守護神』として、敬われるようになるのだ。

明良が『守護神』となったのは、五歳の時だ。

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