《MUMEI》 夏休み「やっと帰って来れた♪」 1学期を終業し、夏休みに入って数日。 「一葉、パス!」 ダンッ! パッ サユから放たれたボールが、汚れる事なく1バウンドであたしの手元に収まる。 『やっぱこうでなきゃ♪』 火事以来使われる事のなかった体育館が、先日復旧工事を終え今日から使えるようになった。 残念ながら、今日は用具の確認・点検のみで上がり。 「一葉、塾ってお祭り期間は休み?」 『うん、3日間だけね。』 「じゃあ今日の花火は?」 『行けない(泣)』 「うっそぉ!このまま一葉と行こうと思ったのに…でも1日のは行けるんだ?」 『ごめん…。1日は休みだからね〜。』 「なら一緒に行こ〜ね♪」 『え゛!』 「何今の。軽くショックなんだけど。」 『あ、いや、そうじゃなくてっ…。』 稲田、まだ誘ってないの…?! 「何?あと5秒で言ってくれなきゃ泣く!ご〜お…」 あれから稲田は、花火大会にサユを誘ってみると言っていた。 「よ〜ん…」 ちなみに、ナオは芳人くんと。 佳代は涼ちんと。 結衣ちゃんは毎年恒例らしい家族旅行。 さつきは…空いてるはず。 「さ〜ん…」 『まず今日のはさつきが空いてる!!1日はぁ…』 「…。に〜い!」 …しょうがないかぁ。 行けるって言っちゃったし。 「い〜ち!!」 『稲田も!!』 「は?」 『稲田も誘おう!』 「いいけど…」 『じゃあ、サユ声掛けといて!あたしお便所!』 「あ〜…。そっか♪はいは〜い。」 …これで誤解MAXだ。 まずは今日サユに、好きな人はいるけど稲田じゃないって事を伝える。 で、花火大会当日はドタキャンして二人に…ベタだけど。 さつき誘っておこうかな〜。 でも行って二人に遭遇したら… …今年の花火は音だけだ(泣) 「あれ、一葉?」 『…篠崎っ!』 「…毎回驚くの止めてくんない?(笑)」 『あは…ごめん…。』 「今日も塾?」 『うん。てか…それ携帯電話?』 「いや、ピッチ♪なんかこないだ姉貴が買って来た。」 (懐かしいですね) 『へぇ…それって、どこにでも掛けられるの?』 「…だって、電話だよ?(笑)」 『いいな〜!あたしの持ってるの、3件しか掛けらんないし…。』 「つーか持ってんだ?」 『うん、ほら。形はかわいいよ♪』 「じゃあ、はい♪」 『…何?』 「番号教えて♪」 『へ?!』 「…嫌か?」 『じゃなくて!あたし掛けられないし、家族以外の携帯とか初めてで…』 「いいじゃん俺から掛ければ。はい、交換♪」 篠崎から電話?! 掛かって来たとして、…何喋ったら良いの?(泣) 前へ |次へ |
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