《MUMEI》
刑事
「うわぁっ!!」


その罵声に驚いた四人は、一斉に声を上げた。

振り向くとそこには、以前真弓の件で取り調べをしていた中年の刑事が立っていた。
刑事は四人と目が合うと、一瞬驚いた顔をしたが、すぐに元の厳しい顔に戻った。

いや、より一層厳しくなっていた。
鬼の様な形相で四人を睨んでいるのだ。


「あ、あの…これは…」


何か良い言い訳がないかと四人は互いに目配せをしたが、中々言葉が見つからない。

四人が黙ったままでいると、刑事が庭に入って来た。

「こんな所で何をしていると聞いているんだ。」


刑事は更に凄みながら、四人の顔をまじまじと見る。

「せ、先日はどうも…。」

ここに居る理由は言えない。
司はとにかく話をずらそうと、思いつく限りの言葉を発する。


「覚えてくれてますか?僕たちの事!」


なるべく明るい雰囲気を出して、悟られない様に心掛けるが、刑事の鋭い視線に心を見透かされているのではないかと思うと気が気ではない。


「…あの‥刑事さん?」

「知らんな。」

「え…?」


司だけではない。他の四人も刑事の言葉に目を丸くした。

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