《MUMEI》

それに、確かにこの声は、私の夢の中でも、義母が亡くなる直前のあの時にも、聴いた声だった。

(もしかして…)

「あなたが、私の…

『剣』の分身なの?」

『そうです』

私の言葉に、『銀色の男』は前髪をかきあげて、額を見せた。

そこには、私の左手にあったのと同じ、雪の結晶によく似たあざがあった。

ふと見ると、私の左手にあったはずのあざが…消えていた。

『左手から生まれる』

私は、『姫』の言葉を思い出していた。

「本当に?」

『はい。主。…私に、名前をお与え下さい』

「名前?」

私が首を傾げると、『銀色の男』は頷き、私の横にひざまずいた。

「あの…?」

『そうする事で、主は正式に『守護神』となるのです。

名を与えて頂けなければ、私も力を発揮できません。
…お願い致します』

急に言われて、私は困った。

そして…

私の名前の由来になった『雪の結晶』のあざを見つめながら…

「じゃあ、…『晶(しょう)』」

と囁いた。

『有り難き、幸せ』

『銀色の男』―晶は微笑むと、銀色の光に包まれ

『剣』へと、姿を変えた。
(え?)

その『姿』に、私は驚いた。

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