《MUMEI》
便利
とりあえず、私は自分の―晶の力は黙っている事にした。

言うと、何だか大変な事になりそうだから。

「ところで。何で晶はうちの制服来てるの?」

私はとりあえず、今気になっている質問をしてみた。
『主の側にいる男は、皆これを身につけておりましたので』

「もう、卒業したから誰もそれ着ないけど」

私の言葉に、晶は

『何と!』

と叫んで動揺した。

意外と抜けている晶の様子に、私は思わず笑ってしまった。

『それでは、私は何を身につければ、主の隣にいてふさわしいのでしょうか?』
真剣な表情で訊いてくる晶が、おかしかった。

(どうせ、見えないのに)

そんな私の考えは、部屋に入ってきた女の人の一言で、かき消された。

「あぁ、やっとお目覚めになられたのですね。

『学生さん』もずっと心配されていたのですよ。

…神様にも、御報告いたしますね」

「え? あの…」

『学生さん』

その言葉に、私は驚いた。
慌てて女の人に確認すると
晶は

『普通の人』には

『黒い髪と瞳の学生服の男』

に見えている

…らしい。

『主。服装、いかがいたしましょうか?』

申し訳なさそうに、晶は私に話しかけてきた。

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