《MUMEI》

「晶。『黒』が見えないんだけど…」

『あれは、『生きている人間』しか持っておりません』

晶は、きっぱりと言い切った。

「…そう」

正直、私は意外だった。

そして、『紫』を見つめながら、

「ところで、今までこんなの、見えなかったんだけど?」

と晶に訊いた。

『主が、正式に『守護神』として、お目覚めになられましたので』

(…と、言うことは、)

「まさか、『これ』も、斬れるの?!」

私が驚くと

「何の話だ」

「あ…」

部屋の入り口に

いつの間にか

神君と『姫』が立っていた。

「いつから、そこに?」

「お前の大声が聞こえてからだ。

とりあえずは、元気そうだな」

『小娘。腹は空かぬか?』
(え?)

『姫』の言葉に、私のお腹が答えた。

「…空いて、ます」

私は、赤くなりながら、答えた。

(そういえば…)

ずっと何も食べていない事に、今更私は気が付いた。
『まずはそなたが栄養をとらねば、『剣』にも『栄養』は与えられぬぞ』

『姫』の言葉に、私は、晶を見つめた。

晶の『銀色』が薄いのは、『栄養』不足だからかもしれない。

「ごめんね、晶」

私は、思わず謝った。

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