《MUMEI》

「加藤って…可愛いよな」



「うん、俺もそう思う」




「はー…」




内藤は俺から視線を外しストローをくわえた。




「うっ!ゴホッ!ゴホッ!ゲホッ」




「もー何してんだよ!大丈夫か?」



いきなり吐きだすバカ内藤。
紙ナプキンで二人でテーブルを拭きまくる。



「ワリイ、ゴメン!」



「一気に飲むからだ、バカかお前ー」



仕上げに内藤のお手拭きでテーブルを仕上げ磨きする。



良し、完璧。気持ちいい。





「加藤は一見ツンとしてるけど中身は面倒見良いよな」



「有難う、自分でもそう思ってる」





「はー、加藤、なあ…言って良い?」




「え?まだ言ってなかったんだ、は、何?」


すると内藤は突然俺の手を取り、両手でキツく握りしめてきた。




「俺、…俺ずっと加藤の事見てたんだ!」


「いつの間に!それは知らなかった、危うく代金貰い損ねるところだった」



「…頼むから真面目に聞いてくれ…」



真剣に俺を見据える内藤。



耳までゆだってる〜!



つか面白い顔…。




「何なの、まるで愛の告白する勢いだな〜」



「そ、そうだよ、
告白だよ…、な、加藤、
ずっと好きだった…、いや好きだ!
俺と…俺と…俺と…」




「うん、頑張れ!」

なんか健気な表情にキュンとなる。



何だよ〜もう!


突然春が舞い込んで来た!


内藤別に興味ないけど暇だし、別に恋人いねーし…




「俺とセックスしよう」








――10秒後、俺は店を出て外を歩いていた。

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