《MUMEI》
坂田君
「山田くん!昨日、坂田君から電話なかったんだけどっ」


朝一番に山田を捕まえて言った。


「あぁ、試験が終わってから連絡するって言ってたで」


「それならそうと言ってよぉーーー!!!!」


「え?あ、もしかして待ってたん?昨日?」


おっと、図星。


「いや、特別に待ってはないけど、でも連絡があるかもって言われたら少しは気になるでしょ!!!」


特別に待ってた分、余計に腹が立った。


「ごめん、ごめん。そこまで気がまわらへんかった」


山田はニコニコ笑っている。


この人って・・・本当に・・・のん気だ。




「あ、坂田や!!!!」



急に山田が言った。

え?坂田君?



「ちょうどええし、今紹介するわ。そのほうがええやろ?」



う、うわぁー。
こんなに急展開なんて!?

昨日とか寝不足でボロボロなのにぃー



「坂田ぁー!」


呼ばれて坂田君がこちらに近づいてくる。


「例のミキティ、ちょうどええし紹介するわ」


もうドキドキして顔みれないよぉ〜



「坂田です」


低い素敵な声で挨拶された。


その声に誘われてチラッと見ると、




かっこいぃーーー!




背がすらっと高くて、目が切れ長で。
なんか大沢たかおみたい。

きっと私の目はハートに違いない!

こんな人が私のことを気に入ったなんて。


ありえなぁーいっ。



「大谷です。なんか山田君が・・・」



何を話していいか分からず「山田」なんて言ってしまった。



「あぁ、山田に前からお願いしててん。大谷さんを紹介しろって」



「そうなんだー」


「また試験終わったら連絡するし、遊んでな」


「うん!もちろん」




こりゃ大学入学以来のヒット間違いなしだ!


小川や敦なんかとは格が違うよ!


大学初の夏休みは素敵な夏休みになること間違いなしっ!!!

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