《MUMEI》

『主と同じだな』

『姫』がそう言ったので、私は安心した。

神君と同じなら、間違いないと思った。

「じゃあ、今あげたらいい?」

『いえ、夜に』

「そう? 大丈夫?」

私が心配すると、晶は苦笑した。

『普通は夜与えるのだぞ、小娘』

『姫』の言葉に、神君も頷いた。

(そうなんだ…)

この時私は、何か深い意味があるのかもしれないと思った。

「とりあえず、体調は回復したようだが、『剣』に『栄養』を与えるのは、それなりにこちらも疲れるから、母上へは、今日は報告だけしておこう。

明日、正式な『守護神』となったお前のお披露目があるから、朝食後も、離れにいろ」

「はい…」

私は返事をしたが、また、神楽様に会うと思うと、気が重かった。

『私もお側におります』

「ありがとう」

晶がいるのは、確かに心強かった。

(そうだ)

私は晶を手招きし、耳元で、小声で質問した。

「この『紫』、どうにかならない」

―と。

実は、さっきから私の視界には『紫』の光がちらついていて、困っていた。

ここに来る途中にも、神君に『まっすぐ歩け』と注意されてしまった。

『これがよろしいかと』

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