《MUMEI》 初デート前期試験も何とか無事終わり、夏休みが始まった。 「あんた、いつ山口に帰ってくるん?」 母からの電話だ。 「うーん、お盆かなぁ」 「はぁ、あんた京都におってもすることないんでしょ、帰ってきんさい!」 「はいはい、帰る日決めたら連絡しまーす!」 母はまだ何か言っていたが無理矢理に電話を切った。 帰りたいのはやまやまだけど、坂田君と夏休みに遊ぶって約束したんだもん! おっと、坂田君との約束の時間だ!? 出かけないと。 坂田君からは昨日の夜にやっと連絡があった。 連絡すると言ってから二週間後のことだった。 私のこと紹介して欲しいって坂田君から言ってきたんだから、もう少しやる気を出して欲しいもんだわ!!! そんな風に腹も立つけど、実は待たされた二週間で坂田君のことが、かなり気になっていた。 待ち合わせ場所に着くと坂田君はすでに来ていた。 「ごめんねぇ〜、遅れちゃって。待った?」 「ううん、さっき来たとこ」 なんか・・・デートっぽい。 ん?あ!?ていうか、これがデートか。 ていうか、じゃぁ、これが私の初デートってこと!? 「どうする?これから?」 坂田君が聞いてきた。 こういうときは「どこでもいい」ってのはまずいんだよね・・・ な、なんて言おう。 「えっと・・・、うーん」 「そこに映画館あるし、映画でも見よか?」 「今って、なんか面白い映画やってるの?」 「面白いかどうかは知らんけど、ここでボーっと立ってるよりはええんちゃう?」 そうね・・・ 「俺、白黒ハッキリしてるから、嫌やねん、どーする、あーするっていうの」 本当にハッキリ言うんだねぇ・・・ 「じゃ、映画で・・・」 坂田君・・・私のことを気に入ってるって言うから、もっと私に優しくしてくれるのかと思った。 なのに案外冷たいんだな・・・ この映画が終わったらどうするんだろ。。。 時間的にはご飯なんだけどな・・・ 映画が終わり外に出ると、 「ほな帰ろか」 坂田君が言った。 あぁぁぁぁ・・・ やっぱり帰るんだ・・・ せっかくのデートだったのにぃーっ!!! 私、なんか粗相しました? 前へ |次へ |
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