《MUMEI》

「らぶい……」

高遠が乙矢にもたれ掛かる。

「今から俺に触れたら殺す」

我に返る、二人いつの間にか仲良しに?

「やだぁん、怖い〜。」

片方の拳を顎に置く高遠の語尾はやたら甘ったるい。


「ファンが見たら号泣するな。」

七生が小声で囁いた。
……同感だ。

「先輩、俺地獄耳なんですよー。それに今時はギャップ萌って言うんスよ?」

ははは、高遠君たら何をほざいているのかな。

「世も末だな。」

乙矢君は容赦無い。



「お、七生笑ったじゃん。笑った七生好きだよ。」

緊張感はあった方がいいけど、ある程度の柔らかさもないといけない。





「………………」

七生がその場で膝を抱えて顔を突っ伏す。

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