《MUMEI》
内藤視点
「お邪魔します」
「邪魔するなら帰れ」
「もう、加藤は相変わらずだなあ…」
ワンルームのマンション、かなり狭い。
しかし綺麗に完璧にかたずいている!
ローテーブルの前に座ると、加藤はインスタントだけどって言いながら俺にコーヒーの入ったカップを手渡した。
加藤は俺を無視して窓を開け、ベッドの上の布団を干したり衣類を取り込んだりしだした。
そして俺の脇でたたみ始め、それがまた…
「上手いな、売ってるみたいなたたみ方じゃん」
「俺もそう思う」
テーブルなんか塵一つない。
テレビなんかもピカピカ…。
しかし、テレビやコンポなんかは最新の物なのに、年期の入ったぺん立てとか、フィルムケースにクリップが入ってるとか、
あと何なんだ、…。
カレンダーを切り、束ねたメモ紙が広告で折った箱に入っているのがまたなんとも…。
……ノスタルジック
カレンダーのメモ紙って、昔ばーちゃん家で見たような…
「何キョロキョロしてんだよ」
手際良くたたみ終えた加藤は衣類を持って立ち上がった。
「あ、ゴメン、なんか…随分綺麗にかたずいてるから、あー見習わなくちゃなあって…」
「そっ、良く言われる」
「え?言われるって、結構人来るの?」
学校じゃ加藤はあまり周りに馴染んでる様子はなかった。
友達がいるイメージがあまり…ない。
「一人しか来ないよ、ソイツは特別ものぐさだからな…、良し終了!」
引き出しに衣類をしまうと加藤は漸く俺の隣に座ってきた。
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