《MUMEI》 「萌ですね。」 高遠が横目で呟いた。 「萌だな。」 乙矢が頷く。 二人の中で何かが燃えているらしい。 「自覚無しなとこがまたツボなんだな」 七生が呟く。 ……自覚? 俺にはさっぱり意味が分からない。 「……二郎は何も考えなくていいから。」 膝の隙間から垣間見た七生は笑っていたので仕方ないと思う。 「うん?」 それは俺の台詞であるべきなのでは。 でも七生が俺のことばっかり考えているのくらいは分かっている。 言うまでもないか。 俺に出来ることといえば傍らで応援してやることくらいだしな。 前へ |次へ |
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