《MUMEI》 片言(かたこと)私が身支度を整えて洗面所から出てくると、晶の服装は、昨日私が印をつけたカタログのモデルの服装になっていた。 (本当に、便利) 私が感心していると 『ユキチャン、ユキチャン』 『オハヨ、ユキチャン』 部屋の入口の障子の向こうから、二人の『女の子』の声がした。 …片言で、幼い感じがした。 この屋敷には、『守護神』しか入れないはずだ。 「…だあれ?」 私は、障子の向こうに向かって問いかけた。 すると、二人の『女の子』は、 『エン』と『スイ』と名乗った。 (それって…) 私はそっと、障子を開けた。 そこにいたのは 見覚えのある 『赤いとかげ』と 『青い蛇』 だった。 (あれ?) 気のせいだろうか。 『青い蛇』が以前より、大きくなっているように見えた。 『何の用だ、お前達』 晶の言葉に、二匹は口を揃えて 『コワイ、コワイ』 と言って、私に近付いてきた。 「あなた達、喋れたの?」 初めて会った時は、無言だったのに、急に親しげに話しかけてくるから、私は驚いていた。 そもそも、とかげと蛇が喋るなんて、普通は思わないし。 前へ |次へ |
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