《MUMEI》

すると二匹は…

『ユキチャン、セイキクレタ』

と声を揃えた。

「え?」

『エン、シャベレル、ユキチャンノオカゲ』

『水、大キクナタ、喋ル、ユキチャンノオカゲ』

「ちょ、ちょっと待って」
認めたく無いけれど、明良さんには、いろいろ…された、記憶はある。

でも…

水の主

左近さんに、精気を与えた記憶は、…私には無かった。

大きくなり、言葉も、炎より滑らかな水を、私はまじまじと見つめた。

『ドシタ? ユキチャン』

「あのね、水…」

『主が知る必要はございません』

質問しようとした私の言葉を晶が遮った。

「でも…」

知りたくないけど、やっぱり気になる。

『大丈夫です。主が与えた精気はほんの微々たるものですから』

「本当に?」

私は不安だった。

何しろ二匹は私のおかげで喋れるようになったらしいから。

『私は主に嘘は申しません』

「信用して、いいのね?」
私が念を押すと、晶が頷いた。

私は晶の言葉を信じて、質問を変えた。

「どうして、私のところに来たの?」

―と。

近くに、明良さんと左近さんの姿は見つからなかった。

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