《MUMEI》 話の途中で、右近さんは私の首筋を見つめて、絶句した。 私は慌てて隠したが、 「それ、そいつがやったの?」 と訊いてきた。 『それ』とは、晶が『噛みついた跡』だった。 『その通りです 我が『栄養』は 『主の生き血』です それから…そいつではなく、私の名は、晶です』 「精気じゃなくて?」 『それは、主に拒まれました』 「し、晶!」 『はい、主』 私は小声で『余計な事は言わないで』と訴えた。 『余計な事、ですか?』 晶は意味がわからなかったらしい。 「いいから、もう喋らないで…」 私の言葉に、晶は無言で頷いた。 「そうなんだ。…大変じゃない?」 「…貧血にならないように頑張りますから」 私の言葉に、右近さんは笑った。 「…いいから、さっさと行くわよ。 遅れたら、あんたのせいだからね!」 「…はい、すみません!」 『私のせいじゃないです』 本音を飲み込んで、私は慌てて歩き始めた。 「それにしても、実際精気をもらうと、そうなるんだね 面白そうだな」 右近は炎と水を見つめて呟いた。 「あれだけで、これなら…」 そう言って、明良は炎を見つめた。 前へ |次へ |
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