《MUMEI》
色鉛筆と日本地図
離れに着いた私は、すぐに眼鏡を受け取った。

「あれ、イメチェン?」

明良さんはあの夜の出来事が無かったかのように、普通に話しかけてきた。

私は、明良さんを無視して、眼鏡をかけた。

実は、『守護神』の屋敷内に『紫』は無かったが、一歩外に出た途端、また空中に『紫』の光が現れて困っていたところだった。

すると

『紫』は消え

『生きている人の色』も少し薄く…オーラのように見えた。

『どうです? 主』

「うん、大丈夫みたい」

小声で話す私達に

「内緒話?」

右近さんが割り込んできた。

左近さんは、私の顔を見て、

「…いい」

と言った。

『似合う』という意味らしい。

二人の態度も、いつもと変わらなかった。

きっと、三人にとって、あの出来事は、大した事が無いのだろう。

私には、大事件だったのに。

「ほら、行くわよ」

「はい」

私は、右近さんと左近さんを無視して、翔子さんについていった。

「嫌われたな、お前達」
「明良さんこそ」
「…」

三人は、そんなやりとりをしながら私の後ろからついてきた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫