《MUMEI》

「とにかく、今日は皆いつも通り役目を果たせ。

まずは、食事だ」

神君がそう言うと、五人分のお膳が運ばれてきた。

神君は、一人で先に済ませたらしい。

『いつもそうしている』と、神君は私に説明した。

それから、私達は黙々と食事を済ませた。

食事を終えた私達の目の前に、一枚ずつ配られたのは、

…何故か、日本地図。

それに、…色鉛筆だった。
私と神君の前には、無数の色鉛筆が置かれていたが、
明良さんは 赤

左近さんは 青

翔子さんは 白

右近さんは 茶

を持っていた。

ちなみに、翔子さんの日本地図だけは、陸地が緑・海が青だった。

四人は日本地図を見つめながら、真剣な表情で、丸印をつけはじめた。

大きさの異なる丸印をいくつか付けると、それを、部屋の外にいたスーツ姿の人に渡し、四人はそれぞれ出ていった。

神君は、自分の日本地図に赤・青・茶の丸印を付けると、スーツ姿の人に渡し、私の前に立った。

そして

「お前も、集中して、危険を感じる区域を見つけてみろ」

と言った。

「え?」

「『守護神』なら、何かを感じるはずだ」

(何か…)

私は、眼鏡を外して、目の前の日本地図を見つめた。

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