《MUMEI》
引っ掛かり
振り出しに戻ってしまった…。

四人は通り掛かった公園のベンチに腰掛けて、頭を悩ませていた。


「どうしよう…。」


誰に問い掛けるでもなく、美樹がポツリと呟く。
それに対して、やはり誰も答えるでもなく、返ってきたのは「はぁ…」という二人分のため息だけだ。

だが、司だけは違った。


「なぁ、あの刑事のおっさん…何かおかしくないか?」

「おかしいって?」


洋平は地面に向けていた目線を司に向ける。
他の二人も司に注目した。

「だって俺らがあの刑事と会ったのって三日前だぜ?なのにあいつは知らないって言い張った。
ほんの数分しか面識なかったんならともかく、俺らはあいつに何時間も取り調べされてたんだぞ?
それで覚えてないなんて、有り得なくね?」

「それはそうかもしれないけどさ、個人差ってあるだろ?あの刑事は人の顔を覚えるのが苦手なのかもしれないし。」

「そうだけどさ…」


確かに洋平の言い分も一理ある。
しかし、司は何かが引っ掛かって仕方なかった。


何だ?



何が引っ掛かっている?



一体何が…


「ちょっと待って!」


司の引っ掛かりを解いたのは、優香の言葉だった。

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