《MUMEI》

「もしかして俺の体心配してくれてんの?」




「まさか、一般的意見」

「♪♪♪♪♪♪♪」

加藤の携帯が鳴りだした。


加藤はケツポケットから携帯を出す。





「はい〜、どした?」



いきなりマジな笑顔になった!




今まで引き攣った作り笑いみたいなのしかしなかったのに!





「うん…、うん…、分かった…」





俺から離れて壁きわによりかかる。




学校でも余り表情のかわらなかった加藤…。




こんなリラックスした加藤見るの初めてじゃないか?





相手は誰だろう…





つかまさか恋人!?




「俺帰って来るの9時位だからさ、じゃー裕斗はキャベツの千切りと味噌やっといて!




…うん、この前教えた通りで…うん、…うん、分かった、ビール?



当たり前だよ欲しい!ドライにして!…はーいじゃまた!…うん、



…ははっ、俺も愛してるわ!じゃな、仕事頑張れ!」







あ、い、 し、 て、る?




愛してる!!!





「はー、トンカツねえ…、やっぱ肉買いに行かなきゃな」






加藤はバックから財布を出して覗いている。




「まだ銀行はいいか…、あ、内藤!俺買い物行きたいから帰って!」





「な、今の…電話…男?」




「え?ああ、男だけど?」







男…、加藤は男と付き合っている!!






「なんだよ〜、俺は何もたもたしてたんだ…、はあ…」




偶然会うことがあれば告るって決めて日々を過ごしてきた。


だって卒業した後失敗した〜って思ったんだ。



二度と会えないかもしれないのに想いさえも告げないで、これじゃやっぱりいけなかったんじゃないかって!



しかも忘れられなくて、俺の妄想の中での二人のドラマが毎日連載し続けられている。



玉砕しても良い。



こんな不毛な毎日から脱却したかった。



つか男と付き合える子だって分かっていたら俺は自惚れかもしれないけど自信がある。



ちょっとやそこらの男より格好良い自信だよ。



つか今からでも何とかなんないだろうか…。

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